2012年12月12日水曜日

「食育シンポジウム」が開催されました

昨日12月11日に、上川総合振興局・かみかわ食育推進ネットワーク主催の「食育シンポジウム」が士別市で開催されました。今回は、教育旅行や修学旅行、研修等でおっこなわれる農村体験を通じた食育がテーマです。約70名近くの人が集まっていただきました。アグリテックからは代表の中田が第2部のパネルディスカッションのコーディネーター役で参加しました。

第一部基調講演
基調講演では、十勝浦幌町より浦幌で農村体験の受け入れを実施している近江正隆さん(ノースプロダクション代表、NPO法人食と絆を育む会代表)から「思いやりの心を育む農山漁村生活体験」として講演されました。ビデオで事例を見ながらお話しされました。

近江正隆さん
近江さん自身東京出身で、北海道に憧れて十勝に住み始めたそう。船乗りの仕事を経験して、自然と人間の関係を思い知らされ、船で事故があって船乗り仲間に助けてもらったことで、農山漁村の人と人との深い絆の関係を改めて知らされたといいます。

農林漁業体験は「食」などの命の糧を生み出す大切な営み。しかし、消費者にとっては他人事という感は否めない。農業は大切、食育は大切といくら口で伝えても伝わることは少ない。それは実体験が伴っていないから。だから、生産現場で命を生み出す営みを一緒に体験することで、少なからず参加した消費者らは何かしら響くものがある。大手企業幹部の人材育成の研修に、農業体験プログラムを入れており、体験後の話し合いでは、企業人というよりは人間として食や命に真剣に向き合う議論などが活発にされたといます。

地元の子どもたちの受け入れ(ビデオ映像)

子どもたちの農業体験でも、背伸びをしない普段の生活を体験するファームステイなどを実施。限られた時間の中で、子どもたちに食の大切さや農業の大切さなどを伝えるのは難しい。そこで、実体験をした子どもたちに事後学習として振り返る作業(学校の授業や、農家のビデオレター、学校へ出前講座など)があると、さらに膨らむといいます。

学校で農作業体験後振り返りのための授業(ビデオ映像)

受け入れ農家も、なんのために受け入れているかという目的を明確にもっておこなうことが大切。受け入れ農家はそういう意味では、食の現場を知ってもらう役割があるので、ぜひどんどん受け入れてほしいといいます。

農業の跡取りや若い世代がどう農業を発信していくか、どう農業を腹に据えて職業
としておこなっていくか、次の世代の農家さんも真剣に考えている(ビデオ映像)

地元士別の小学校の農業体験学習発表
パネルディスカッションの前に、地元士別市の2つの小学校の農業体験学習発表がありました。地元の子どもたちも地域の産業である農業について自分たちで育てた感想、思いなどをしっかり発表していました。

士別市立温根別小学校の長いも栽培の発表
士別市立下士別小学校のビート栽培とお米栽培の発表



第二部パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、力不足ながらアグリテックの中田がコーディネーターをつとめ、基調講演の近江さんにもパネラーで入っていただき、「修学旅行の農業体験を通じた食育推進」というタイトルで議論を進めさせていただきました。



農業体験の受け入れ方法や、農家さんが伝えたいこと、また地域で受入体制の整備をどう進めていくかという、受け入れにあたっての体制づくりの話のほか、会場からの質問でどのように受け入れ農家を集めていくかということで議論していきました。

いろんな話が出ましたが、近江さんの基調講演にもあったように、農業体験を受け入れるにあたって、農家自身が何をもってどういう目的で受け入れているか、ということが大切で、受け入れている団体やこれから受け入れを行おうとしている農家さんも、もう一度このことを確認していくことが必要ではないかという話にもなりました。その中で、体験参加者が食育や農業の大切さなど素直に受け取れる場がこの農業体験なので、ぜひ農家さんはどんどん受け入れをしていってほしいということでまとめました。

修学旅行の農業体験は、子どもたち、学校側にとってみれば、思い出づくり、楽しみづくりという要素のほうが大きいので、教育旅行の農業体験で食育推進というのは大変難しいテーマでしたが、近くにこのような農の現場のない子どもたちなどにとってみれば、一生に一度の貴重な体験になるはず。遠回りかもしれないけど、このような体験の場を提供していくことで、子どもたちの中に実体験をしてもらい、今後の人生に活かしていってほしいものです。